ニュースリリース
富士フイルムと静岡がんセンター
世界初(*1) 医師の画像診断をサポートする「類似症例検索システム(*2)」の開発に成功
2012年4月10日
富士フイルム株式会社
静岡県立静岡がんセンター
富士フイルム株式会社(社長:古森重隆、以下 富士フイルム)と静岡県立静岡がんセンター(総長:山口 建、以下 静岡がんセンター)は、人工知能の技術を用いて医師の画像診断をサポートする世界で初めての「類似症例検索システム」の開発に成功しました。富士フイルムは、本システムを本年秋に発売する予定です。まずは、肺がん(*3)を対象とし、類似CT画像検索機能を提供します。
本システムは、平成24年4月13日からパシフィコ横浜にて開催される「国際医用画像総合展(ITEM2012)」富士フイルムブースで技術展示されます。
肺がんは、がんの中で最も死亡数が多い疾患であり(*4)、胃がんや大腸がん、肝臓がんに比べて進行が早いため、発見初期の段階で正確な診断が要求される疾患です。通常、胸部X線検査などで肺がんの疑いがある患者に対してCT検査を行う際、画像診断を専門に行う医師には、陰影の大きさや性状などから肺がんの可能性が高いか否かを正確に判断する読影能力が求められています。年々、CT装置は高性能になり、よりきれいな画像が得られる一方、読影する検査画像も増えており、画像診断を担う医師の負担は増加しています。さらに、今後、CTを用いた肺がん検診の普及も予想されます。
日常の診療で蓄積される大量の検査画像や診断結果を活用して、医師の画像診断をサポートするという本システムの開発コンセプトは、高度な画像処理技術を持つ富士フイルムと医療現場の豊富な経験を持つ静岡県のファルマバレープロジェクト(*5)との議論の中で生まれました。
このシステムの開発は、富士フイルムの人工知能の技術に、静岡がんセンターの約1000例(*3)の確定診断のついた豊富な症例データベースを組み合わせて実現しました。なお、国内トップシェアを誇る富士フイルムの医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE(シナプス)」上で使用できます。
本システムは、CT画像の読影を行う際に、組み込まれた症例データベースから、病変の特徴が類似した症例を瞬時に検索し、似ている順に複数表示します。医師は、表示された画像を参考にして、検査画像と比較しながら画像診断を行うことができます。さらに、導入施設ごとに蓄積された過去の症例を追加登録することで、症例データを充実させることも可能です。また、検索・表示された類似症例の診断結果を元に、読影レポートの作成を効率的に行える機能も備えています。
静岡がんセンターの読影実験による検証では、類似症例の検索は、約9割の確率で適切な症例が表示され、それを参考にして読影レポートの作成時間も短縮することができました。肺がん診療に携わる医師のみならず、研修医の教育用途などで幅広く活用いただけます。
富士フイルムと静岡がんセンターは、平成17年2月に国内初となる高度先端医療機関と企業間での包括的な共同研究契約を締結し、「次世代医療用画像診断ネットワークシステム」の実用化に向けた研究に取り組んできました。
今回開発したシステムには、肺がんの複雑かつ多様な画像パターンに対し、医師の観点に基づいて画像の類似性を定量化する新たな技術が組み込まれています。今後は、肺がん以外の画像診断にも活用いただけるよう対象疾患を拡大していく予定です。
*1 医用画像情報システム(PACS)上で動作する類似症例検索システムとして世界初。平成24年3月時点(富士フイルム調べ)。
PACSとは、Picture Archiving and Communication System の略です。
*2 類似症例画像検索機能は、富士画像診断ワークステーション FS-V673型 (薬事認証番号 21600BZZ00613000)のオプションです。
*3 肺の孤立性陰影を対象としています。(良性を含む)
*4 2009年 国立がん研究センターがん対策情報センター 人口動態統計より。
*5 静岡がんセンターが中核となって進めている静岡県のプロジェクトで、医療からウェルネスまで世界レベルの研究開発を進め、県民の健康増進と健康関連産業の振興および富士山麓への集積を図り、特色ある地域の発展を目指すもの。
<「類似症例検索システム」のイメージ>
![[写真] シネマカメラ用レンズ「FUJINON ZK4.7×19」](pack/images/articleImg/articleffnr0626_img_01.jpg)
<特長>
- (1) 肺がんの類似症例を瞬時に検索
- 病変の特徴が類似した症例画像を瞬時に検索し、似ている順番に複数の画像を表示します。医師は、表示された正確な診断がついている画像から、参考としたい症例を選択し、検査画像と比較しながら画像診断を行うことができます。
- (2) 充実した症例で医師の画像診断を強力にサポート
- 導入時から静岡がんセンターの肺がんを含む約1000例の豊富な確定診断のついた症例が活用できます。
また、症例データベースには、導入施設ごとに蓄積された過去の症例を追加登録することで、データをより充実させることができます。 - (3) 読影レポートを効率的に作成できます
- 検索された症例の診断結果を元に、読影レポートの作成を効率的に行える機能を備えています。
- (4) 教育・自己学習に最適
- 過去の診断症例・読影レポートを、一度に比較しながら参照することができ、専門医でなくとも多くの症例に接することで効果的な画像診断の学習が可能となります。
<富士フイルムについて>
富士フイルムは、創業間もない1936年にレントゲンフィルムから医療分野での取り組みをスタートし、1981年には、世界で初めてX線画像のデジタル化を実現したデジタルX線画像診断システムFCR(フジ・コンピューテッド・ラジオグラフィ)を開発、さらに、1999年には、デジタル化した画像を病院内のサーバで保管する医用画像情報システム「SYNAPSE」を発売するなど、医療のIT化をリードしてきました。現在では、画像診断機器を中心とした「診断」領域に加え、スキンケア化粧品、機能性食品などを扱う「予防」の領域、医薬品を扱う「治療」分野に事業領域を広げ、トータルヘルスケアカンパニーを目指しています。
<静岡がんセンターについて>
静岡がんセンターは、2002年9月に開院し、陽子線治療、手術支援ロボット“ダ・ヴィンチ”などの高度な先進医療を提供する世界トップレベルのがん専門医療機関です。また、患者さんと家族の視点を重視し、がん治療に伴う副作用や合併症を軽減させる支持療法にも力を入れ、心と身体の全人的医療を目指しています。開院当初より、地域の健康医療産業の活性化を図るため、静岡がんセンターを中核とした“ファルマバレープロジェクト”を推進し、産学官が連携する、地元企業から大手・グローバルな企業との共同研究を行っています。研究の対象は、[1] 臨床現場との橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)、[2] 医療現場で必要な製品や医療機器の開発、そして[3] 次世代の医療関連機器を開発する企業のサポートを行っています。昨年12月には、「ふじのくに先端医療総合特区」が国の地域活性化総合特区に指定され、がん診断装置・診断薬や医療関連製品の開発などを積極的に進めています。
本件に関するお問い合わせは、下記にお願いいたします。
- 富士フイルム株式会社 広報部
- TEL 03-6271-2000
- 静岡県立 静岡がんセンター マネジメントセンター 医療広報担当
- TEL 055-989-5222

