低複屈折光学フィルム
開発の背景
LCD(Liquid Crystal Display)を用いた液晶テレビは急速に普及し、高性能化が進んでいる。LCD内部は2枚の偏光板が液晶セルを挟む構造をしており、偏光板はPVA(Poly Vinyl Alcohol)製の偏光子の保護フィルムとしてタックフィルム(TAC)が必須の部材として用いられている(図1)。偏光板は光を偏光にする働きをするが、偏光が複屈折を持つ物質を透過すると常光と異常光に分かれ光路差が生じる。この光路差=複屈折を制御することが光学フィルムにおいて重要な課題になっている(図2)。
![[図1]LCDにおけるTACフィルムの役割](pack/images/review06_img_01.jpg)
【図1】LCDにおけるTACフィルムの役割
![[図2]複屈折媒体中での偏光の挙動](pack/images/review06_img_02.gif)
【図2】複屈折媒体中での偏光の挙動
開発の概要
近年のLCDの大型化・高性能化に伴い、より「低複屈折」の光学フィルムが要求されるようになった。一般の光学フィルムでは原料高分子の化学構造が固有の複屈折を有しており、フィルムの複屈折を小さくすることは困難なのに対し、TAC(Tri-acethyl Cellulose)はもともと複屈折が小さい特徴がある(図3)。さらに従来のタックフィルムではわずかな平面内の複屈折があり、また高分子が層状に配向することによる膜厚方向の複屈折が残っていた。新開発した低複屈折タックでは、当社独自の製膜技術によりフィルム内の高分子配向を制御し、フィルム平面内の複屈折および厚み方向の複屈折の両方をほぼ0とすることに世界で初めて成功した(図4)。
実際に市販の32インチIPS方式液晶テレビに低複屈折タックを用いると、ナナメ方向から画面を見た際の色味変化を劇的に減少させることができた(図5)。この技術により液晶テレビの高性能化に多大な貢献をすることができた。
![[図3]高分子固有の複屈折](pack/images/review06_img_03.gif)
【図3】高分子固有の複屈折
![[図4]低複屈折タックフィルム中における高分子の配向制御](pack/images/review06_img_04.gif)
【図4】低複屈折タックフィルム中における高分子の配向制御
![[図5]低複屈折タックを用いた液晶テレビの色味改良効果](pack/images/review06_img_05.jpg)
【図5】低複屈折タックを用いた液晶テレビの色味改良効果



