無処理印刷版
開発の背景
富士フイルムでは、グラフィック事業として新聞や雑誌、カタログなどさまざまな印刷物を作成するための印刷版の開発、製造販売を手がけている。印刷版は図1のような構成の材料で、ベースの上に、感光性の層が設けられている。光でパターンを作り、インクが乗る部分とインクが乗らない部分を作り、それを印刷機に付けて印刷するための材料である。
![[図1]印刷版の構成と材料](pack/images/review08_img_01.gif)
【図1】印刷版の構成と材料
開発の概要
印刷業界では、作業の簡易化、迅速化および環境負荷軽減が求められており、それにこたえるべく当社が開発したのが、印刷機上でパターン形成が進むようにした無処理印刷版である。
無処理印刷版のパターン形成プロセスは図2のとおり。
![[図2]従来の印刷版とのパターン形成プロセスの比較](pack/images/review08_img_02.gif)
【図2】従来の印刷版とのパターン形成プロセスの比較
パターン露光すると、露光した部分が化学反応、これを印刷機に取り付けて、湿し水が供給されることで、パターンが形成され印刷が始まる。パターン形成に従来のアルカリ現像液のような化学薬品は使わず、極めて簡単なハンドリングで印刷作業を進めることができる。
技術的なポイントは、高感度光重合反応系を実現するための分子軌道計算を用いた化合物分子設計、ラジカル重合と同時にベースと感光層を光接着させるための機能性ポリマー設計、光があたった反応部分の物理的強度と、未反応部分の除去されやすさを同時に満たす複合材料設計などが重要な技術課題である。
印刷版というものは、化合物の設計やそれを複合して用いる反応系の設計で、色々な機能を発現させている製品である。またこうした考え方は印刷版に限らず、半導体プロセス材料やデジタル家電を支える基板作成プロセス材料でも活きている。



