製膜技術
技術開発の背景と概要
![[写真]超広幅「フジタック」](pack/images/review06_img_01.jpg)
超広幅「フジタック」
液晶ディスプレー用偏光板保護膜に不可欠な構成部材であるタックフィルムは、ポリマー溶液(主原料セルローストリアセテート)を用いた溶液製膜法により製膜している。高粘度のポリマー溶液は、流延ダイでせん断を受けることにより液膜表面の乱れが生じるため、高速製膜による生産性向上の妨げになっていたが、当社は共流延技術を開発し、高生産性と高品質化の両立を達成した。この共流延技術は、ダイ流路壁面付近の両表層を低粘度層とし、両表層に挟まれた中間層を高粘度層とする多層同時流延を可能とする技術である。当社では、ポリマー溶液の多層流動に関し、粘弾性理論、流体力学や拡散・伝熱などの物質移動論に基づき数値シミュレーションと実験による解析を進めており、フィルム生産技術の向上を行っている。平成20年4月には40インチ超の液晶パネルに対応した「超広幅」フィルムを開発・上市し、業界をリードしている。
![[図]3層共流延模式図](pack/images/review06_img_02.gif)
3層共流延模式図
![[図]3層共流延での粘弾性挙動と表面平滑性の研究例](pack/images/review06_img_03.gif)
3層共流延での粘弾性挙動と表面平滑性の研究例
(出典 : Naoki Nakamura Fuji Film Co., Ltd. Etc , The Polymer Processing Society 24th Annual Meeting June 15-19 ,2008)
さらに当社の溶液製膜生産技術を活かし、メディカル・ライフサイエンス分野に有用な次世代材料ハニカムフィルムの製造技術を開発、試験販売を開始した。現在、再生医療の基幹材料としての応用を検討している(平成19年2月21日発表。ナノテック大賞2007-バイオ部門受賞、日刊工業新聞社モノ作り連携大賞授賞(2007年11月))。ハニカムフィルムは、両親媒性物質を含む高分子溶液を基板にキャスト後、溶媒の蒸発潜熱による冷却に伴う水分結露、水滴の成長・移動・自己組織化により規則的に配列する現象を利用している。蒸発・凝縮・伝熱・拡散・乾燥・物質移動などの移動現象論と乾燥風の境界層理論、ポリマーや溶媒の相溶性・粘性・表面張力などの物性論からハニカム形成のメカニズム解明に取り組みつつ、高品質・高生産性の達成を目指して研究開発に取り組んでいる。
![[図]ハニカム構造膜形成過程](pack/images/review06_img_04.jpg)
ハニカム構造膜形成過程



