高精度スキャナ送り技術
開発の背景
富士フイルムは、1983年に世界で初めてデジタルX線画像診断システムを開発した。それがFCR(FUJI Computed Radiography)である。このFCRでのX線画像のデジタル化により、データ保管/転送が効率化されたばかりでなく診断目的に応じた多様な画像処理が可能となり、従来のアナログシステムのX線画像に比べて読影・診断精度も飛躍的に向上した。
![[図1]デジタルX線診断システム(FCR)の概略図](pack/images/review05_img_01.jpg)
【図1】デジタルX線診断システム(FCR)の概略図
開発の概要
高速・小型化を実現したビルドイン型FCR「VELOCITY」は、従来型に比べ「読取速度を5倍(前機種比)」かつ「装置サイズを1/7」にした開発である。医療分野の機器に求められる性能は非常に高く、診断する医師からは100%に限りなく近い正確さと使いやすさを求められ、診断される患者さんにはストレス無く検査が受けられる安心感が必要になる。
高速化だけであれば、高速のモーターを用いる事で可能かも知れない。しかし、小型化も実現させるためには瞬時に高速まで立上る技術が必要になる。さらに画像を扱う機器特有の技術では、スキャナの送りの位置精度のみならず、送り速度精度(一定速度で滑らかに移動し続ける)の精密送り技術が必要になる。医療機器はこの精密送り精度が厳しい上に、撮影直後に患者が装置にぶつかる想定も必要である。このような厳しい条件下の設計は、世の中にある最先端部品を集めるだけでは実現することはできない。
![[図2]ビルトイン型FCR「VELOCITY」](pack/images/review05_img_02.jpg)
【図2】ビルトイン型FCR「VELOCITY」
VELOCITYの開発では、設計者がユーザー先の病院から部品の材料メーカーまで自ら足を運び、金属の剛性を高めるための材料組成の改良、患者の動作などの外乱振動を吸収する構造設計、小型を実現する機構設計、高速モーター制御技術、さらにはユーザーが使いやすい形状や触感まで独自の技術を一つひとつ自分たちで開発し、結集することで初めて実現することができた。



