高性能圧電薄膜MEMS
開発の背景
微細加工技術をベースとしたメカニカルな動きを示すデバイスは一般的にマイクロマシンといわれている。マイクロマシンの分野では、最近は高出力化、超小型化がより望まれており、特に流体駆動の分野では、あらゆる粘性の液体が駆動ができるための高トルクな小型マイクロポンプが必要とされている。高いトルク発生のためには、数ある駆動方式の中でも、圧電駆動が有利である。圧電駆動とは【図1】のように電界をかけると、材料が伸張収縮して動く方式であり、圧電材料が使用される。
![[図1]圧電駆動の概念図](pack/images/review10_img_01.gif)
【図1】圧電駆動の概念図
開発の概要
一般的な高性能な圧電材料として、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)という無機材料が挙げられる。この材料の結晶構造に電界をかけると大きく結晶格子自体が歪むために上記のような伸張収縮運動が発現するのである【図2】。
![[図2]圧電材料の結晶構造](pack/images/review10_img_02.gif)
【図2】圧電材料の結晶構造
富士フイルムでは従来の圧電材料を上回る高性能、高トルク、かつ高耐久性の無機圧電材料の研究を進めている。この材料をさらに薄膜系で実現することにより、半導体プロセスとの融合による超微細デバイス化、低コスト化などにつながる。
このような高機能圧電材料技術を用いた、高トルクマイクロポンプの技術は、多くの分野に展開することが可能である。例えばインクを高速で噴射するインクジェットヘッドなどは超微細マイクロポンプが2次元的に高密度に配列された構造となっている。また医療用分野などでも血液や薬液などさまざまな液体をハンドリングするポンプが注目されている。イメージングから医療まで、幅広い応用展開の可能性を秘めた技術である。



