医薬品事業-戸田 雄三が語る- : 1.医薬品と親和性が高い写真フィルムの技術
![[写真]医薬品事業-戸田 雄三が語る-「医療の変革」を促進する富士フイルムの医薬品](pack/images/index_mainvisual_01.jpg)
本格参入から数年、拡大を続ける富士フイルムの医薬品事業。独自の技術を基盤とした医薬品事業の戦略と狙いについて、医薬品事業部長の戸田雄三が語ります。
1. 医薬品と親和性が高い写真フィルムの技術
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「写真の会社」からスタートした富士フイルムが近年、医薬品事業の拡大に力を注いでいることについて、「なぜ?」という疑問をお持ちの方も少なくないと思います。まずはその理由をお話ししましょう。
そもそも、当社と医療との関わりは非常に古く、創業2年後の1936年にX線フィルムを発売して以来、診断用機材の分野で長い事業経験を積んできました。医師や検査技師の間には、富士フイルムの名前は信頼のブランドとして深く浸透しています。私が新人研修を受けた時に、講師役を務めた製造係長が言った「当社の最も大事な製品は“信頼”だ」という言葉は、今でも心に残っています。私たちが医療分野により広く、深く関わっていきたいと考える背景には、まずこうした長い事業経験と、“信頼を売る”という企業文化によって支えられてきたという歴史的な経緯があります。
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とはいえ、診断用機材と医薬品との間には、大きな違いがあります。では、医薬品事業への参入を決めた最大の理由は何か?それは、私たちが写真フィルム事業を通じて培ってきた「技術」です。実は、写真フィルムと医薬品との間には、多くの技術的関連性があるのです。まず、ファインケミストリーという共通点。富士フイルムには20万種類を超える化合物のライブラリーがありますが、その多くは光や電子を選択的に吸収/反射する性質を持っています。こうした反応性の高い化合物には、医薬品に応用できると考えられるものが多いのです。また、私たちはコラーゲンについても長年研究を積み重ね、アミノ酸組成を自由にデザインする技術など、数々の優れた知見を有しています。これらは、再生医療の分野で、重要な役割を果たすことが期待できます。さらに、化合物を乳化し、フィルム内部に適切に分散するためのナノテクノロジーは、医薬品の有効成分を体内の目的部位へ適切な量とタイミングで届ける技術(FTD技術)に有効活用することができます。
加えて、私たちには、これら要素技術の結晶である複雑な製品を、安定した品質で大量生産するための優れた解析技術や生産技術、品質管理技術があります。
写真フィルムは収益性の高いビジネスだったにもかかわらず、世界の市場で活躍したのは当社を含むわずか4社でした。理由は、これらの精密な技術を確立・運用することが非常に困難だったからです。こうした高い技術は当然のことながら、医薬品の開発や生産にも、大いに役立てることができます。事実、先に発表したバイオ医薬品分野における協和発酵キリンとの提携でも、私たちのモノ作りの技術が重要な役割を果たしています。


