ニュースリリース
「ヒト型セラミド」(*1)を世界最小(*2)20ナノメートルで高濃度分散することに成功!
肌への浸透性とバリア機能の回復力を高める「ヒト型ナノセラミド」を開発
2010年6月15日
富士フイルム株式会社
富士フイルム株式会社(社長:古森 重隆)は、人の角層細胞間脂質を構成し、肌のバリア機能(*3)に寄与する「ヒト型セラミド」を独自技術により世界最小20ナノメートルサイズで高濃度分散した「ヒト型ナノセラミド」を開発しました。
また、今回新たに開発した「ヒト型ナノセラミド」が、従来のセラミド分散物に対し、約9倍の角層への浸透性と肌のバリア機能の回復力を高める効果を有することを確認しました。(図1、2参照)今後この「ヒト型ナノセラミド」を、保湿効果が高い、肌のバリア機能を回復させるスキンケア化粧品の開発に活用していきます。
当社は、写真感光材料の開発研究で長年にわたり蓄積してきた多彩なコア技術をベースにヘルスケア分野へ事業参入しました。これまでに、高い抗酸化力を有する「アスタキサンチン」など、さまざまな有用成分を当社独自のNANO FOCUS(ナノフォーカス)技術(*4)で安定的にナノ乳化し、吸収・浸透を高めることに成功しています。
今後もNANO FOCUS技術で成分の有用性を最大限に生かした化粧品、サプリメントの開発を進めてまいります。
*1 ヒトの角層細胞間脂質を構成するセラミドと同一の化学構造、かつ光学異性体(分子を構成する元素の配列が同じであるが、結合の向きが異なるため、立体的な形が違うもの)であるもの。
*2 2010年5月末時点、当社調べ。
*3 角層への外界からの異物の侵入を阻止し、体外への水分透過蒸散を抑制する効果。
*4 素材を安定で最適な形にし、高吸収・高浸透を実現する、当社独自のナノ乳化・分散の技術ブランド名称。
【図1】 肌角層への浸透量向上
当社の「ヒト型ナノセラミド」は、従来よりも約9倍の角層浸透性を実現。
![[図]1 肌角層への浸透量向上](pack/images/articleImg/articleffnr0402_img_01.gif)
【図2】 肌バリア(水分保持力)の回復力向上
当社の「ヒト型ナノセラミド」は、肌のバリア(水分保持力)を従来よりも迅速に回復。
![[図]2 肌バリア(水分保持力)の回復力向上](pack/images/articleImg/articleffnr0402_img_02.gif)
- ■ セラミドとは
- セラミドは、肌の最表面にある角層の細胞間脂質を構成する成分であり、ラメラ構造(*5)を形成することで、角層細胞とともに肌のバリア機能を実現しています。加齢によりバリア機能が低下した肌ではセラミドが減少していることが知られており、肌本来の角層状態に戻し、バリア機能を維持するためにはセラミドを補給することが重要です。
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*5 「セラミドを主とする脂質」と「水」とが層状に重なり合った構造のこと。(図3参照)
- ■ ヒト型セラミドとは
- 人間の体内にもともと存在し角層細胞間脂質を構成しているセラミドと、同一の化学構造をもち、かつ同一の光学異性体であるものを「ヒト型セラミド」と言います。「擬似セラミド」「糖セラミド」など数あるセラミド類の中で、「ヒト型セラミド」は肌への親和性が最も高く、肌の細胞間脂質のラメラ構造形成に有用とされています。さらに「ヒト型セラミド」のみを用いると規則正しく配列することが期待できますが、異なる異性体(非ヒト型セラミド)と混合し用いると規則正しく配列することが期待できません。(図3参照)
- ■ 研究の背景
- 肌の細胞間脂質のラメラ構造を構成するヒト型セラミドは、加齢により減少します。そのため、ヒト型セラミドを積極的に肌に補うことが必要です。しかしヒト型セラミドは溶液中で結晶しやすいため、従来多くの場合油剤(オイル)や乳化剤にセラミド分子を溶解して分散するという方法がとられていました。そのためオイルの溶媒中にセラミドを低濃度で配合した100~300ナノメートルサイズの分散物しか作ることができませんでした。体内で減少するセラミドを補うために十分な量を細胞間脂質のすみずみまで届けるためには、このヒト型セラミドをナノサイズで高濃度に分散し浸透性を高める必要がありました。
- ■ 開発研究の結果
- 当社は、ヒト型セラミドを溶解・分散するための油剤を用いず独自の技術により、平均粒径20nmでセラミドを高濃度に、かつ安定に分散した「ヒト型ナノセラミド」を作成することに成功しました。 (図4、5参照)
- そして、この「ヒト型ナノセラミド」が、従来のセラミド分散液に対し、角層浸透性が約9倍も高くなることを確認しました。(図1参照) また、星薬科大学薬剤学教室高山教授らのグループとの共同研究によるX線構造解析により、「ヒト型ナノセラミド」が角層ラメラ構造に有意に作用していることを確認しました。さらに、この「ヒト型ナノセラミド」液を塗布することで、従来のものよりも、肌のバリア機能を迅速に回復することも確認しました。(図2参照)
【図3】 セラミドによるラメラ構造のイメージ
![[図]3 セラミドによるラメラ構造のイメージ:ヒト型セラミドのみ](pack/images/articleImg/articleffnr0402_img_03.jpg)
![[図]3 セラミドによるラメラ構造のイメージ:ヒト型と非ヒト型との混合](pack/images/articleImg/articleffnr0402_img_04.jpg)
【図4】 「ヒト型ナノセラミド」液の透明性(市販のヒト型セラミド分散物との比較)
市販のヒト型セラミド分散液が白濁しているのに対し、当社が開発した「ヒト型ナノセラミド」液は極小サイズのまま安定に分散されているため透明な液になっている。
![[図]4 「ヒト型ナノセラミド」液の透明性:市販のヒト型セラミド分散液](pack/images/articleImg/articleffnr0402_img_05.jpg)
![[図]4 「ヒト型ナノセラミド」液の透明性:ヒト型ナノセラミド液](pack/images/articleImg/articleffnr0402_img_06.jpg)
【図5】 「ヒト型ナノセラミド」液の粒子サイズ(市販のヒト型セラミド分散液との比較) : 透過型電子顕微鏡写真
下の図は、当社ヒト型ナノセラミドと市販のヒト型セラミド分散液を模式化したイメージ
![[図]5 市販のヒト型セラミド分散液/当社が開発したヒト型ナノセラミド液](pack/images/articleImg/articleffnr0402_img_07.jpg)
■ NANO FOCUS (ナノフォーカス)技術 ■
![[ロゴ]NANO FOCUS](pack/images/articleImg/articleffnr0402_img_08.jpg)
当社は、必要な成分をバランスよく配合し(Formulation)、必要な場所に(Targeting)、必要な形で届ける(Delivery)という富士フイルム独自のFTD技術コンセプトにもとづき、有用成分の付加価値を高めて配合する、独自性の高い化粧品、サプリメントの商品化を進めてまいりました。
今後は、成分を安定で最適な形にし、高吸収・高浸透を実現する当社独自の乳化・分散技術を「NANO FOCUS(ナノフォーカス)技術」として技術ブランド化し、アスタキサンチン、セラミドを始めとした種々の有用成分に対しNANO FOCUS技術の適用を広げ、新たな付加価値を実現し、自社の成分・製品に適用していきます。
本件に関するお問い合わせは、下記にお願いいたします。
- お客さま ライフサイエンス事業部 営業部 ヘルスケアグループ
- TEL 03-6271-2252
- 報道関係 広報部
- TEL 03-6271-2000
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