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ニュースリリース

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再生医療用リコンビナントペプチドを用いて、
①移植した細胞の生存率を大幅に高めることを実証
②糖尿病モデルの膵島移植実験において血糖値を正常レベルまで下げることに成功

~細胞と足場素材を組み合わせた三次元細胞構造体「CellSaic(セルザイク)」による画期的な研究成果~

2015年3月19日

富士フイルム株式会社

富士フイルム株式会社(社長:中嶋 成博)は、再生医療のための細胞培養・移植に必要な足場素材(*1)「リコンビナントペプチド(RCP)(*2)」のマイクロサイズのペタロイド状微細片(petaloid μ-piece)を開発しました。これと細胞を組み合わせて、モザイク状の三次元細胞構造体「CellSaic(セルザイク、Cell and Scaffold, forming Mosaic)」(*3)を作製しマウスに移植すると、細胞だけ移植した場合比較して、生体内に移植した細胞の生存率を大幅に高めることを実証しました。さらに、1型糖尿病(*4)モデルマウスの実験では、血糖値を制御する膵島(*5)、ヒト間葉系幹細胞(*6)(hMSC)と「RCP」のペタロイド状微細片を組み合わせた「セルザイク」を共移植することで、血糖値を正常レベルにまで下げることにも成功しました。

尚、細胞を「RCP」のペタロイド状微細片と組み合わせて培養皿上で培養した場合も、細胞のみを培養した場合と比較して、培養5日後に約2倍の細胞数が生存していることを確認しています。

これらの研究成果は、細胞移植の効率を飛躍的に高めて組織や臓器の再生を可能にするもので、再生医療の発展に大きく貢献する画期的な研究成果です。

ペタロイド状微細片: petaloid μ-piece

[画像] ペタロイド状微細片

petaloidとは“花弁のような”という意味の英語。表面が複雑で微細な構造を持つ。

【研究の背景】

再生医療は、損傷した臓器や組織を再生し機能を回復させる新しい医療技術です。その中でも細胞移植や組織移植は有望な技術と考えられています。移植した細胞や組織を生体内で機能させるためには、①移植した細胞や組織を効果的に生体内に生着させる、②移植した組織や細胞において栄養・酸素の供給や老廃物排泄を可能にする、ことが重要です。このような中、移植した細胞や組織を効果的に生体内に生着させるためには細胞の足場となる素材を使う方法が、また栄養・酸素の供給や老廃物の排泄を可能にするためにはその通り道となる血管を早く導入させる方法が、一般的に有効であると考えられています。しかし、細胞塊が大きくなるほど、中心部まで栄養や酸素が供給されず、また老廃物の排泄も困難になるため、血管導入までに細胞が死滅するという問題があります。

これに対して、富士フイルムは、動物由来成分を含まない(*7)当社独自の足場素材「RCP」を高度なエンジニアリング技術により加工して、マイクロサイズのペタロイド状微細片を新たに開発し、それと細胞を組み合わせたモザイク状の三次元細胞構造体「セルザイク」を活用して、以下の2つの研究成果に繋げました。

【研究成果1】 生体内での移植した細胞の生存率を大幅に高めることを実証
(1) 実験内容
栄養・酸素の供給や老廃物の排泄を可能とするために、細胞生存に最適な形状であるペタロイド状微細片とhMSCを組み合わせた「セルザイク」を、マウスの背部皮下に移植。hMSCの細胞塊のみを移植した場合との細胞生存率を比較しました。
(2) 実験結果
  • 「RCP」のペタロイド状微細片とhMSCを組み合わせ、「セルザイク」とすることで培養7日後の細胞の生存活性が、hMSCのみの細胞塊の場合に比べて約2倍向上(図1)。
  • 「セルザイク」内部では、「セルザイク」が大きくなっているにも関わらず死細胞が非常に少なく、多くの細胞が生存していることを可視化して確認(図2)。
  • 移植7日後、hMSCを細胞塊として移植した場合と比較して、セルザイクでは栄養・酸素、老廃物の通り道となる血管の導入が顕著に向上することを確認。 同時に、セルザイクでは細胞の生存が大幅に高まっていることも確認 (図3)。
これらの結果は、
  • 「RCP」がペタロイド状微細片であることで、細胞の足場が確保されるとともに、「セルザイク」内部に空間が形成され、その空間を通じて、栄養・酸素の供給、老廃物の排泄が可能となったこと
  • 生体からの血管系細胞の通り道が「RCP」と「空間」によって形成されたこと
によるものと考えられます。

[画像] 図1. 細胞の生存活性の比較 図2. 「セルザイク」と細胞塊の細胞生存状況

[画像] 図3. 移植7日後の「セルザイク」と細胞塊の細胞生着、血管導入

【研究成果2】 1型糖尿病モデルマウスの膵島移植実験において、正常レベルまで血糖値を下げることに成功
(1)実験内容:
1型糖尿病など膵島機能不全によって血糖値の制御が困難な場合には、ドナーから膵島を移植するという先進的な治療方法が存在し、また動物実験においては、間葉系幹細胞(MSC)を共移植することで治療効果が上がるという研究成果が報告されています。今回、hMSCと「RCP」のペタロイド状微細片を組み合わせた「セルザイク」を作製し、1型糖尿病モデルマウスに、その「セルザイク」と膵島を共移植する実験を実施しました。
(2)実験結果:
  • 膵島、hMSC と「RCP」のペタロイド状微細片を組み合わせた「セルザイク」をマウス皮下に共移植したところ、膵島のみを移植した場合や膵島とhMSC を共移植した場合に比べて高い治療効果を実現し、正常レベルまで血糖値を下げることに成功しました(図4)。この結果は従来の方法と比べて、移植したhMSCが生体内で多く生存しているため、膵島移植による治療効果が高まったことによるものだと考えられます。

この結果は従来の方法と比べて、移植したhMSCが生体内で多く生存しているため、膵島移植による治療効果が高まったことによるものだと考えられます。

[画像] 図4. 1型糖尿病モデルマウスに膵島、膵島+hMSC、膵島 + hMSCと「RCP」のペタロイド状微細片を組み合わせた「セルザイク」を皮下移植した結果

(左図) 膵島200個を皮下に移植し28日後までの血糖値変化を測定。膵島のみ移植した場合は、血糖値を下げる効果は見られなかった。膵島とhMSCを共移植した場合は、血糖値を下げる効果が見られるが、正常マウスレベルまでは下がらない。一方で、hMSCと「RCP」のペタロイド状微細片を組み合わせた「セルザイク」と膵島200個を共移植した場合は、正常マウスと同等まで血糖値が下がっていることが分かる。

(右図) 28日経過個体に1日間の絶食、その後グルコースを強制的に投与する糖負荷実験を実施。強制的に上げた血糖値を、どれだけ迅速に正常レベル(150mg/dl 程度)まで下げられるかを測定。膵島のみを移植した場合は、血糖値を正常レベルまで下げるのに時間がかかるが、hMSCと「RCP」のペタロイド状微細片を組み合わせた「セルザイク」を移植したマウスは、迅速に正常レベルまで血糖値を下げられていることが分かる。

これらの2つの研究成果から、「RCP」のペタロイド状微細片と細胞を組み合わせた「セルザイク」は、細胞移植や組織再生、臓器再生といったさまざまな再生医療への活用が期待できると考えています。尚、今回の研究成果は、平成27年3月19日にパシフィコ横浜において開催される「第14回日本再生医療学会」にて発表する予定です。

富士フイルムは、長年の写真フィルムの研究で培ってきた高機能素材技術やエンジニアリング技術と、グループ会社である株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングの研究・開発・生産・販売などの多面にわたる技術力やノウハウを融合し、再生医療分野の研究開発をさらに推進し、再生医療の産業化に貢献していきます。

*1 細胞の足場となるコラーゲンなどのタンパク質や人工物のこと。

*2 ヒトⅠ型コラーゲンをモデルとし、遺伝子工学技術を用いて酵母細胞に産生させた人工タンパク質。

*3 Cell and Scaffold、forming Mosaic。細胞と足場を組み合わせた、モザイク状の三次元細胞構造体。cellと、Mosaicのsaicを合わせた造語。

*4 自己免疫性疾患などが原因となる、インスリン欠乏が原因となる糖尿病。

*5 膵臓に島状に存在する組織。膵島が血中の血糖濃度に応じてインスリンを産生、放出することにより、体内の血糖値を制御している。

*6 間葉系(骨細胞、心筋細胞、軟骨細胞、腱細胞、脂肪細胞など)に由来する体性幹細胞。主として間葉系細胞への分化能を持ち、さまざまな再生医療における細胞源として有望と考えられている。

*7 ヒトに対して異種となる動物由来成分を含まないことをいう。ヒトに用いる医療素材に対して強く望まれる性質の一つである。

*8 ATPはアデノシン三リン酸、細胞のエネルギー分子。生きている細胞のATPを定量測定することで、細胞の生存活性を定量することが出来る。

本件に関するお問い合わせは、下記にお願いいたします。

  • 報道関係 コーポレートコミュニケーション部
  • TEL 03-6271-2000
  • その他お問合せ 再生医療事業推進室
  • TEL 03-6271-3030
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記事の内容は発表時のものです。最新情報と異なる場合(生産・販売の終了、仕様・価格の変更、組織・連絡先変更等)がありますのでご了承ください。

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