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第1回FUJIFILM Presentsインクジェットペーパーフォトコンテスト 結果発表

インクジェットペーパーフォトコンテスト結果発表

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総評

8,000点を超える作品群を拝見させていただき、写真というビジュアルシーンの豊富さ、撮影者の多岐に渡るに視点や創造力、そして創作性には写真の善し悪しを超えた新鮮さや驚きを感じました。

お子さんを写したスナップから写真を加工したクリエイティブフォト、鉄道からネイチャーに至るほとんどのジャンルが集結したコンテストでした。色彩に跳んだ美しい作品、個性的な作品、奇抜な視点、デジタル技巧を凝らした作品。どれも見応えのあるものばかりでした。

しかしコンテストは非情です。一瞬で善し悪しを見極め、ばっさばっさと落としていかなければならない宿命と判定が必要だからです。一次予選から二次三次と進み、最終選考の50点に絞り込んだとき、ホッとしたとともに意外な発見がありました。

それは最終選考に残った作品の傾向です。人気の高い風景関係が意外に残らなかったこと、対照的なのはスナップ系。これはネイチャー系の人たちはまだまだフィルムに依存した撮影が多く、デジタル撮影をする人が少ないということと、撮影をしていてもインクジェットでのプリント経験が未熟ということが背景にあるのでしょう。そんな中、フィルムをスキャンしプリント応募された人も予想を超える数があり、グランプリを始め入賞作にも多いことはその裏付けでしょう。

最終選考に残った作品はどれも優劣が付けがたく、厳しく細部にわたる審査となりました。作品の内容はもちろんのこと、プリントの再現性や描写性といった品質にも目を凝らしました。このクオリティーチェックで受賞や入選を逃した作品はずいぶんありました。

レタッチによるクオリティの劣化した作品が多く、特に色飽和によってプリントのクオリティを落としたものが目立ちました。それらは離れて作品を眺めればよい作品だと感じても、近づくと荒れが目立つものや諧調が失われている作品です。

自分では自信のあった作品がなぜ落選するのか、原因を振り返ることも大切です。プリント作成の重要性にもより注意を配り、撮るだけでなく撮影データを最大限発揮できるプリント技術にも一層の努力をすることが応募者の方々の課題となるでしょう。

最後になりましたが、受賞者の皆さん、本当におめでとうございました。

写真家
田中達也氏
Tatsuya tanaka

グランプリ

ゼブラ美人 「ゼブラ美人」
和歌山県 楠本 富浩さん

帽子からこぼれる光と影がバランスよく、デザイン的にも美しい。
女性に重ねた影は先住民族のメイクを思い起こさせる。通常ポートレートではこうした影を嫌うが、作者は逆転の発想で作品に仕上げている。

また、モデルの仕草や背景の処理も上手く、絶妙なチャンスを見逃さなかった。一瞬の構図判断とチャンスの見極め方が群を抜いている。

さらにプリントも丁寧でピントを合わせた目から眉付近の質感も崩れていない。総合点で他を圧倒した。

準グランプリ

視線 「視線」
香川県 高橋 行雄さん

赤ら顔が印象的な猿たち。
画面には小猿を含めて12匹の猿たちが肌を寄せ合い眼光鋭い視線を送っている。

この密度の高いシーンをパノラマ風にトリミングした構図も無駄がなく撮影意図がより明確になった。作画アイディアが生かされた構成である。

惜しい点は背後からの太陽光が強すぎて毛並みがオーバー露出になったこと。ハイライト部分が多く目立つこと。つまりシャドウ部との露出差の問題が作品の印象に影響したことが悔やまれる。
ベールをまとう森 「ベールをまとう森」
大阪府 岡田 和子さん

紅葉のピークを迎えたブナ林を霧との組み合わせで幻想的に仕上げている。

このブナたちはどちらかといえばスマートな美林。幹が目立たないことで色彩を強調し季節の美しい印象を醸し出している。

さらに霧の存在が煩雑な背景林を隠し相乗効果を見せている。日本画的な優しい色彩感とウエットな風情を感じさせる風景作品である。

プリントに見る画質の劣化もほとんどなく素直に仕上げている点がよかった。

入選

水しぶき 「水しぶき」
長崎県 増永 康一さん

「水しぶき」と題されたこの作品は、子供を取り巻くようにしぶきが広がりとても印象に残った。

このしぶきは子供の口から吐き出されたものなのか、よそから飛んできたものなのか、しぶきが広範囲に及んでいるだけにどのように発生したものか考えさせられてしまった。

ライティングとシャッター速度の選択が上手く肉眼では捉えられない不思議が写っている。

スキャン時の影響か子供の肌の諧調が荒れている点が気になった。惜しい。
親子 「親子」
愛知県 曽我 友一さん

動物園で撮影されたオラウータンの親子。同様な作品は他にも複数の応募があった。

他のコンテストでもよく見かける人気の被写体でもある。チャンスを待つ辛抱強さも必要だが類似傾向にも陥り易いリスクを持っている。

だがこの作品は子供の表情がとても愛くるしい。そして子を守る親の厳しい表情。

対照的な仕草を凝縮した構図。そしてモノクロで表現したことが勝因につながった。
霧景(むけい) 「霧景(むけい)」
愛知県 佐藤 泰三さん

ツツジのピンクが霧に浮かびしっとりとした中に味わいのある作品である。

さらに背景に広がるほのかなハイライト部分がとても効果的である。それを意識した控えめな構図が決め手である。

作者の冷静な判断と技量を伺わせる。そのことが作品に遠近感や立体感を持たせ自然が醸す装いが見事に再現されている。

コンテストではとかくインパクトの強い作品が優位と思われがちだが、それだけではないことをこの作品が物語っている。

フジフイルム賞

黒猫

「黒猫」
大阪府 宇里 豊さん
バラと水玉

「バラと水玉」
神奈川県 三好 蓉子さん
ワシミミズク

「ワシミミズク」
富山県 石金 忠さん
テリトリー

「テリトリー」
東京都 深谷 有さん
廃船の記憶

「廃船の記憶」
宮城県 齋藤 肇さん

特別賞

誘い鳴き

「誘い鳴き」
愛知県 市川 享さん
湖面凍氷

「湖面凍氷」
北海道 加賀谷 重雄さん
放水

「放水」
広島県 折葉 泰祥さん
余韻

「余韻」
神奈川県 井上 光雄さん
静かな朝

「静かな朝」
鹿児島県 栫井 俊英さん

入賞者一覧

グランプリ ゼブラ美人 和歌山県 楠本 富浩さん
準グランプリ 視線 香川県 高橋 行雄さん
準グランプリ ベールをまとう森 大阪府 岡田 和子さん
入選 水しぶき 長崎県 増永 康一さん
入選 親子 愛知県 曽我 友一さん
入選 霧景(むけい) 愛知県 佐藤 泰三さん
フジフイルム賞 黒猫 大阪府 宇里 豊さん
フジフイルム賞 バラと水玉 神奈川県 三好 蓉子さん
フジフイルム賞 ワシミミズク 富山県 石金 忠さん
フジフイルム賞 テリトリー 東京都 深谷 有さん
フジフイルム賞 廃船の記憶 宮城県 齋藤 肇さん
特別賞 誘い鳴き 愛知県 市川 享さん
特別賞 湖面凍氷 北海道 加賀谷 重雄さん
特別賞 放水 広島県 折葉 泰祥さん
特別賞 余韻 神奈川県 井上 光雄さん
特別賞 静かな朝 鹿児島県 栫井 俊英さん

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