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「自由気ままに撮れないこと」が、写真を良いものにしてくれる
都会のビル群、競馬場、人の溢れる真夏のプール。なんてよくできた模型だろう、と誰もが思う。そしてそれが作りモノではないと知り、再び驚かされる。今年の春に刊行された『small planet』(リトルモア刊)は、人々をあっと言わせたエポックメイキングな写真集だった。発表されるやいなや、同じ効果を出す撮影や加工の技法がネットで話題になったりと、子どもから大人まで、その“ミニチュアみたいなホントの景色”に夢中になった。そんなわくわくする写真を撮ったのは、フォトグラファーの本城直季さんだ。
「自分としては大発明だ! とか思ったわけではないので、今の周囲の反応の大きさに逆に驚いてます(笑)。大学生の頃、毎日ポラロイドカメラを持ち歩いて、街並を撮ったりしていました。その頃に、アオリのテクニックを使った写真をどこかで見たんです。その不思議なジオラマ感に惹かれて、このやり方でランドスケープを俯瞰で写したら面白いかもしれないという、そのアイデアと方法とが頭の中でマッチングしたんですね」。
“ジオラマ風ランドスケープ写真”のアイデアを思いついてからも、一年以上は試行錯誤の連続。とにかく場所を見つけては撮るという、作業を積み重ねながら、少しずつジオラマらしく見せるためのノウハウを身につけていきました。
「とにかく制約が多いんですよ。まずは当然ですけど、高い場所が確保できないと撮影できません。撮りたい景色を探すより、自分が登れる高いところを見つけることが先なんです。実際その場所に立ってみないと状況もわからないし、勝手に入ったりできない場所も多いので毎回苦労します。そして重要なのは、必ず何か『人工物』を入れること。建物でも自動車でも何でもいいんですが、“人が作ったもの”がどこかにないと、うまくジオラマ感が出ないんです」。
「ロケハンだけしてシャッターを切るのは後日ということもしょっちゅうです。通える場所は何回も行って、もっといい光の状態を待ったり、別の撮影方法があるかもしれないと試したり。やはりフレームには人物を入れたいと思うので、長く待ったりとか、かなり根気のいる作業です。制約なく自由気ままに撮れたらいいなっていつも思うんですけど、やっぱりそれじゃ作品にはならないから…」。
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