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| 好きなことが全部今に繋がっている 「顔は心の鏡」。人を見た目で判断してはいけない、などと言う一方で、『人は見た目が9割』という本がベストセラーにもなった。どちらにせよ私たちは人に相対した時に、多少なりとも「外見」を判断の基準にする。その“基準”って一体何? と真っ向から問いかけてくるのが、アーティスト・澤田知子さんの作品群だ。ある時は証明写真、ある時はお見合い写真、ある時はクラス写真と、様々なフォーマットで次々と繰り出される女性達の顔。そのすべて澤田さん自身だと知った時、私たちは、それまで信じていたものがなんと頼りないものかを思い知る。 「大学の授業で、セルフ・ポートレートを撮るっていう課題が出たんです。もともと髪の毛をさわったり、メイクしたり、そういったことが好きだったから、じゃあ自分でいろいろ変えて撮ってみたらどうだろうって。でも、その時に撮っていたのは“写真うつりの良い自分”。うまく綺麗に撮れると満足して、それで終わってたんですね」。 半年以上も自分の撮るべき写真がわからず、悩んでいたという澤田さん。そんな日々に射した光は、やはりセルフ・ポートレートだった。卒業制作のテーマとして選んだのは、あの街中の至るところにある「証明写真」。 「それまで撮っていた“写真うつりの良い私”だって、私が良いって思ってるだけですよね。他人がみんなそう思うかっていったら違うわけで。外見のイメージで判断してるのに、みんながみんな基準はバラバラ。じゃあ、いろんな人に変装して、全部違う人に見えたらどうなるんだろう? だったら、フォーマットが揃っていたほうが違いがはっきりして良いなって思って、証明写真を選びました」。 同じ人間なのに、別人にしか見えない。その人を証明するための「証明写真」が、実際は何も証明できていない。その卓抜したアイデアと、作品の見事さが高く評価され、この『ID400』シリーズはキヤノン「写真新世紀」2000特別賞を受賞する。 「近くのトイレで髪型やメイクを変えては、証明写真機に飛び込んで撮りました(笑)。自分の好きなこと、面白いと感じることが全部作品に繋がっていくのが、本当に楽しくて。『これだ!』って心から思いましたね。作品を作っている間も楽しいし、それを見てくれるお客さんの反応もまた楽しいんです(笑)。私ばっかり楽しんじゃって悪いなって思うくらい」。
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