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写真のもつ「客観性」が作品の風通しを良くしてくれた。 「これは!」と思った風景をカメラで撮る。それをプリントして作品の出来上がり、というのが私たちの写真。 「映画を作るのにちょっと似ています。デジカメで気になった風景を撮ったりもしますが、それはあくまで作品の舞台になる空間を記録しストックするためのもの。実際の作業は、その空間をもとにスケッチを描き、モデルになる女性を集めて衣装を用意したり、作品によってはセットの建てこみしたりもします。エレベーターガールのシリーズには、撮影したあとのCG処理に何ヶ月もかかった作品もありますよ」 カメラや写真は本来、その瞬間を切り取るためのもの。でも、やなぎさんはそうした使い方を全くしていない。しかも、写っているのは架空の光景。それなのに、写真になることで、逆にリアルな光景として見えてくるのが面白い。 学生時代は、型染めなどの伝統工芸を学んでいたというやなぎさん。そこからファイバーを使ったインスタレーションを作るようになり、現代アーティストとして活動するようになった。 「学生に制作していたインスタレーションは空間を使う作品でしたから、作品を残すということはとても難しかった。直接のきっかけは、作品を残す記録のためでした。写し取られて二次元になった作品には、生の展示とは別の魅力があることに気づいたんです」 「インスタレーションは、見る人が五感で感じ取ってもらうもの。私にとっては、自分自身の肉体の延長のような感覚で、ダイレクトな表現ならではの気持ちよさ、手作業の陶酔感もありましたが、ただ、何年も続けていくうちに、逆にその生々しさが圧迫感として感じられるようになったんです」 「写真に撮ると、3次元のインスタレーションが平面になってしまいますけど、私にはそれが風通しがいいように感じられました。見る人も、2次元だと作品を体感できないから、逆に想像力を加えながら鑑賞する。写真になることで、作品に客観性が加わることが面白いと思いましたね」
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