ヒントは、人の眼がもつメカニズム
![[写真]Vol.2 人の眼に近づいたCCDセンサー R&D統括本部 電子映像商品開発センター 小田 和也 富士フイルムの高次元CCDセンサー スーパーCCDハニカムEXRの開発を担当](pack/images/index_mainvisual_01.jpg)
1980年代、写真フィルムの開発・商品化を進める一方で、デジタルカメラの開発にも着手をはじめた富士フイルム。デジタルカメラ搭載用の革新的なイメージセンサーをこれまでに数多く開発し、FinePixシリーズをはじめとする様々なデジタルカメラに搭載してきました。
1984年の入社以来、イメージセンサーのデバイス開発に携わってきた小田和也氏。今回、シリーズ最高峰(2009年4月時点)となるデジタルカメラ「F200EXR」に搭載されたCCDセンサーの開発においても、構想段階から開発グループを牽引してきました。
市場の流れから舵を切る
![[写真]R&D統括本部 電子映像商品開発センター 小田 和也](pack/images/index_img_01.jpg)
1990年代、カメラ市場はアナログからデジタルの時代をむかえました。当時は「レンズの倍率」、「液晶ディスプレイのサイズ」、「画素数」という3スペックが商品性能の大きな判断基準になっていましたね。特にデジタルカメラが登場した当初はフィルム写真の解像度に到底追いつけるものではありませんでしたので、「画素数を上げること」が優先課題として挙げられていました。
しかしある時、プリントに十分な解像度に達したにもかかわらず、高画素化が進む市場に対して違和感を感じたんです。画素数だけが高いデジタルカメラが、本当にキレイな写真が撮れるカメラなのだろうかと。富士フイルムが開発当初から目指していたのは「あらゆるシーンでお客さまに満足いただける写真画質」を提供すること。我々は画素数を優先する市場の流れから舵を切ろうと思ったんです。
銀塩写真で培ってきた知見とノウハウ
![[写真]銀塩写真で培ってきた知見とノウハウ](pack/images/index_img_02.jpg)
90年代当時、イメージセンサーの開発は海外や国内の電器メーカーが先行していました。ですが、銀塩(フィルム)の頃から培ってきた写真に関するノウハウや考え方は、写真メーカーである我々にしか持ち得ないものがあるという自負がありました。
例えばそれは、「違いに対する問題意識」にもいえます。フィルムプリントの画と、デジタルで取り込んでプリントしたものではノイズの質が違います。銀塩写真のノイズには心地良さがあるんですよね。これまで銀塩写真でプリントした画をずっと見て育ってきた我々だからこそ、その「違い」に気づき、センサー開発に新たな発想を取り入れることができたんだと思います。
超えなければならないハードル
![[写真]スーパーCCDハニカム](pack/images/index_img_03.jpg)
スーパーCCDハニカム
フォトダイオードの配列を従来型CCDの正方格子型配列から、受光面積の大きい八角形のハニカム構造に(1999年)
富士フイルムでは過去10年間にわたり、独自に開発した「スーパーCCDハニカム」を進化させ、目で見たままの写真画質を実現するという目標に取り組んできました。第1世代から第8世代まで、この姿勢は一貫して受け継がれています。しかし、写真は様々なシーンや条件で撮影されます。風景撮影では、高い解像力が必要です。明暗差の大きいシーンでは、ワイドなダイナミックレンジが求められ、夜景や室内では、高感度が重要になります。これら3つの要素を同時に満たすことは、従来の技術では困難でした。例えば、感度を高めてノイズをおさえるためには画素数を減らさなければならないんです。私たちは、「高解像度」「ワイドダイナミックレンジ」「高感度」のすべてに優れたCCDをどうしてもつくりたかった。それは、最もハードルの高いテーマに挑戦するということでもありました。
ヒントは、人の眼がもつメカニズム

今まで私たちは、主に2種類のスーパーCCDハニカムを開発してきました。ダイナミックレンジの拡大を追求したスーパーCCDハニカム「SR」と、高感度と解像力を重視したスーパーCCDハニカム「HR」です。それぞれの長所を1つのCCDで実現するためには、どうすればいいか。
そこで私たちは、人の目がもつ能力に着目しました。人の目は、明るい暗いといった周囲の環境に応じて、無意識に視細胞をコントロールしているんです。明るいところでは解像力を高め、細かい部分まで見ようとします。一方、暗い場所では感度を上げて明るくキレイに見ようとします。さらに、明暗に差がある場合には、明るい部分と暗い部分を別々に捉えて脳内で合成しているんです。スーパーCCDハニカムEXRの発想の原点は、まさにこの“人の目”のメカニズムにあるのです。



