最後発からのスタート
![[写真]Vol.5 3D画像解析がもたらす、診療ワークフローの変革](pack/images/index_mainvisual_01.jpg)
富士フイルムは、写真分野で培った画像技術、ソフト技術などのコア技術を、医療分野でも生かしています。
レントゲンフィルムをはじめ、1983年発表のデジタルX線画像診断システム「FCR」、1999年発表の医用画像情報システム「SYNAPSE」など、医療現場の声に応えながら、世界に先駆けて画像診断を支援してきました。
今回ご紹介する3次元画像解析システム「ボリュームアナライザー SYNAPSE VINCENT」もその一つ。
2008年7月に3次元画像解析の分野に参入した富士フイルムは、医療現場で役立つ機能を次々とリリースし、2011年には「もっとも売れるであろう製品(矢野経済研究所調べ)」という評価を得るまでに成長しました。2011年11月には3度目のメジャーバージョンアップを果たし、さらに臨床アプリケーションが充実しました。プロジェクトの中心メンバーとして活躍している3名に、製品開発や医療ビジネスにかける思いを聞きました。
社内を横断した技術の活用
富士フイルムメディカル IT事業企画部 小寺 賢(以下、小寺)「SYNAPSE VINCENTのプロジェクトを立ち上げたのは、2007年頃。医療現場の声を聞くたびに『3D画像の分野にも自社製品が必要だ』という思いが強くなり、各部門のスペシャリストに声をかけたのです」。
R&D統括本部 メディカルシステム開発センター 桝本 潤(以下、桝本)「私のチームは、ソフトウェアのプラットフォームとなるシステム開発を担当しました。当初、システム開発とアルゴリズム開発の両方を手がけることも考えましたが、それでは、開発のスピードが遅くなってしまう。
アルゴリズム開発のほうは、画像技術センターに担当してもらいました。写真技術で培ってきたノウハウを生かし、 3D画像解析のアルゴリズムを開発できたことは、SYNAPSE VINCENTの成功に大きく寄与したと思います」。
R&D統括本部 画像技術センター 李 元中(以下、李)「私は入社以来、デジタルカメラの顔認識技術などを研究していました。声をかけられたのは、ちょうど私たちのグループでも3D画像解析のアルゴリズム開発を始めた頃。
医療分野に携わるのは初めてでしたが、マーケティングと営業、システム開発チームと連携してプロジェクトを進めながら、レベルの高さを実感しました。たとえば、ほとんどの本社営業担当が、放射線技師の免許を持っているか、この業界に精通している。彼らと密に連絡を取り合うことで、本当に臨床価値の高いシステム開発に挑むことができていると感じています」。
![[写真]右から 富士フイルムメディカル IT事業企画部 小寺 賢、R&D統括本部 画像技術センター 李 元中、R&D統括本部メディカルシステム開発センター 桝本 潤](pack/images/index_img_01.jpg)
左から 富士フイルムメディカル IT事業企画部 小寺 賢、R&D統括本部 画像技術センター 李 元中、R&D統括本部メディカルシステム開発センター 桝本 潤
診療ワークフローを変える「SYNAPSE VINCENT V3」
小寺「『SYNAPSE VINCENT V3』で力を入れているのが、心臓と肺の領域。肺がんは、日本で一番死亡率の高い病気なので、医療現場からの大きな期待もありました」。
李「今回のバージョンアップでは、CTスキャンなどで撮影した断面の画像から、心臓を囲む冠動脈や肺の中にある気管支だけを自動で抽出し、スピーディに3D化してくれます。冠動脈も気管支も複雑に枝分かれするツリー構造ですが、画像認識の基盤技術を応用することで実現できました」。
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| 3D化した肺と気管支 | 気管支を自動抽出する前(左)と後(右) |
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桝本「何百枚もの断面の画像を読み込んで3D画像をつくるわけですが、今回のバージョンアップでは画像を読み込んで3D表示するまでのスピードが約2.4倍速くなっています」。
李「従来は、CTやMRIなどで撮影した何百枚という画像を、ドクターが 1枚ずつ読み取り、『このあたりに病変がある』等と頭の中でイメージしていました。しかし、このシステムを使えば、わずか数分で、体の中の様子が3次元のデータになるのです。
位置関係を正確につかむことで、診断・治療の精度が高まります。すると最適な手術を行えるようになり、結果的に患者の身体的負担を少なくすることができます」。
小寺「医療ビジネス視点では、患者の身体的負荷が少なくなれば退院も早くなり、新しい外来患者を受け入れることが可能になります。現場のドクターや患者の負担を減らせるだけでなく、病院の経営に貢献できるのです」。



