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カラーラボ市場の変化への対応

 

1980年代に入って、カラーラボ業界の競争も一段と厳しさを増す。当社は、小規模ラボ向けの機器開発を進め、プリンターとプロセサーを連結して一体化した“ミニラボ30”システムを商品化する。一方、大規模ラボ向けには、ラボ機器システムをさらにレベルアップし、“富士フィニッシングシステムFLEX”・“富士カラーロールプリンター12C4510”、“富士オートマチックプリンターFAP15K”をそれぞれ発売する。また、カラーラボの品質管理・生産管理の効率化および技術情報の迅速な伝達を目的として、“FUJITECOM”を開発するとともに、富士フイルムグループとして品質向上を図ることを目的に“FQC活動”を発足、具体的活動に入る。

ラボ市場と機器の動向

1980年代に入って,景気の低迷や市場の成熟化の中で,カラーラボ業界の競争はますます激しくなり,写真材料販売店以外のカラーDP取次店も大幅に増加してきた。また,カラー写真の普及と相まって,写真材料販売店が自ら現像・プリント処理を行なう,小規模な,いわゆる自家処理ラボも増加してきた。これに対応するために,従来からの専業ラボは,各地に小規模な分工場を設置するなど,カラーラボ間の競争も一段と激しくなり,カラープリント価格の引き下げと,納期の短縮をめぐる過当競争が展開されてきた。

カラーラボにとっては,この厳しい競争にいかに耐え得るかということが大きな課題であり,ラボの効率化を図るため,ラボ機器にも,より高能率・高性能のものが求められた。

当社は,これまでにラボの規模に応じた各種の機器を整備してきたが,これらの機器の仕様をさらに改善し,より高度なものにするとともに,小規模ラボ用の機器開発やラボ経営の総合的管理に直結する機器開発を進めていった。

小規模ラボ向け機器システムの開発

小規模なラボで使用される処理機器は,スペースの狭い場所に設置されるので,もっぱら小型化と操作性の容易さが求められた。

当社は,これらのニーズに対応する機器の開発を進め,1980年(昭和55年)6月“富士カラーロールプリンター5C6910”を発売した。これは,110サイズや6cm×9cmサイズまでのカラーネガフィルムから,Eサイズから2Lサイズまでの各サイズにプリントのできる万能自動プリンターで,狭いところでも設置できるようにコンパクトな設計とした。

次いで,1981年(昭和56年)1月,“5C6910”をグレードアップして“富士カラーロールプリンター8C6910”を発売した。これは,ビューアーを見ながら自由にトリミングでき,六切までの大型サイズのプリントを可能にしたものであった。

一方,1980年(昭和55年)7月,一列処理のコンパクトなペーパープロセサー“富士カラーロールペーパープロセサーFPRP102”を発売した。翌1981年(昭和56年)3月には,二列処理でそれぞれ速度の異なる“ペーパープロセサーFPRP202”,同“204”を,同年10月には同“206”をそれぞれ発売した。これら各機種のラインアップによって,各ラボは,自分のところの処理量に合わせて適切な機種を選定できるようになった。

[写真]富士ミニラボ30システム

富士ミニラボ30システム

また,このころから,小規模ラボでは,プリンターとプロセサーを一体化したドッキングタイプのシステムが登場し,注目を集めた。当社もドッキングシステムの開発に取り組み,“富士ミニラボ30”システムを商品化し,1982年(昭和57年)6月から海外市場に導入,1984年(昭和59年)1月から国内市場にも発売した。

“富士ミニラボ30システム”は,カラーネガフィルム用自動現像機“富士カラーフィルムプロセサーFNSP60”と自動プリンターとペーパー自動現像機を連結して一体化構造とした“富士カラープリンタープロセサーFPP6910”で構成されており,フィルム現像・プリント・仕上げまでを明室操作で約30分で一貫処理するシステムである。各種サイズのカラーネガフィルムから種々のカラーぺーパーサイズにプリントする能力を有し,操作性に優れ,設置場所を選ばないコンパクト設計で,小規模ラボや自家処理ラボに相次いで採用されている。

大規模ラボ向け機器システムの発展

[写真]富士フィニッシングシステムFLEX

富士フィニッシングシステムFLEX

[写真]富士カラーロールプリンター12C4510

富士カラーロールプリンター12C4510

[写真]富士オートマチックプリンターFAP15K

富士オートマチックプリンターFAP15K

当社は,これまで,カラープリンター・自動現像機・周辺機器など各種ラボ機器を開発し,それらを組み合わせることによって,カラーラボ業務の効率化を進めてきたが,1980年代に入って,その一層のレベルアップを図った。そして,1982年(昭和57年)6月に開催された’82ラボシステムショーで,高速DP袋自動仕分機“富士フィニッシングシステムFLEX”,大型サイズカラープリンター“富士カラーロールプリンター12C4510”,超高速自動プリンター“富士オートマチックプリンターFAP15K”を発表,1983年(昭和58年)2月“FLEX”,同年9月“12C4510”,次いで同年12月には“FAP15K”を順次発売した。

“富士フィニッシングシステムFLEX”は,それまでラボ業務のネックとなっていたDP袋の仕分け作業の自動化・効率化を目的に開発したもので,現像済みのフィルムやカラープリントを詰めたDP袋の伝票に品名・処理数量・単価・合計金額などを自動的に計算印字するとともに,DP取次店や配送車の区別,そしてコース別の仕分けを高速自動処理する装置である。毎時3,500袋を処理する能力を有しており,この装置を導入することによって,カラーラボにおけるフィニッシング工程の飛躍的な省力化と合理化が可能となり,大規模ラボに相次いで採用された。

“富士カラーロールプリンター12C4510”は,大型サイズのプリント作業の効率化のために開発したもので,モニターテレビを見ながら自由にトリミングすることができ,マイコン制御による自動焦点と自動濃度補正が可能で,4×5判までのネガフィルムから約30cm幅までのロールペーパーにプリントする能力を有していた。

また,“富士オートマチックプリンターFAP15K”は,同一標準濃度のカラーネガフィルムから毎時約1万5,000枚以上のプリントができる超高速カラーロールプリンターである。ネガフィルム判定の自動補正装置とマイコンを内蔵し,適正な露光の決定とプリントサイズのワンタッチ切り換えなど優れた性能をもち,また,スタート時にロール状のカラーぺーパーを詰めたマガジンをプリンター本体にセットするだけで,後はすべて自動的にできるようになっていた。

“FAP15K”は,エレクトロニクス技術を採り入れることによって,プリント品質の安定化と高速処理に大きな威力を発揮し,これまでのプリンターのイメージを一新した高性能プリンターである。

“FUJITECOM”の開発とFQC活動

[写真]FUJITECOM

FUJITECOM

[写真]'83ラボシステムショーにおける当社のブース

'83ラボシステムショーにおける当社のブース

当社が開発を進めてきたラボ機器システムは,カラーラボのプリント品質の向上とラボの処理ラインの省力化を実現するものとして,国内だけでなく,海外市場にも導入され,広く普及されてきた。

1980年代に入ると,これらプリンターやプロセサーなど,直接生産に携わる機器だけでなく,品質管理や生産管理の合理化に役立つ機器の開発が求められた。これらのニーズに応えて,当社は,“FUJITECOM”(富士コンピュータライズド・テクニカル・コミュニケーション・サービス)を開発し,1981年(昭和56年)6月に開かれた’81ラボシステムショーで発表,翌1982年(昭和57年)10月から海外向けに,1983年(昭和58年)2月から国内向けに,それぞれ発売した。

“FUJITECOM”は,コンピューターを利用して,ラボの品質管理と生産管理の効率化を図るとともに,技術情報の迅速な伝達を推進するシステムである。すなわち,現像性能やプリント条件に関する品質のデータの正確で迅速な処理と日々の適正人員の配置や残業時間・プリント仕上がり時間の早期把握など,カラーラボの品質管理や生産管理の効率化を実現するとともに,親ラボと分工場間,あるいはラボと当社の中央コンピューターとを電話回線で結び,相互の迅速な情報交換を可能とした。

一方,厳しい経営環境の中で,フジカラーラボの経営体質の改善とプリント品質の向上を図り,競争に耐え得る企業集団を築き上げることを目指して,当社は,フジカラー販売株式会社およびフジカラーラボグループと一体になって,フジカラーラボの総合的品質管理活動「FQC活動」を展開した。

FQC活動は,フジカラーラボにTQCを導入して,富士グループ全体としての品質の向上を図ることを目的とする活動で,単に製品の品質だけでなく,営業の品質・サービスの品質・経営の品質など,総合的な品質の向上を図ることを目的としていた。そして,1981年(昭和56年)5月,当社とフジカラー販売でFQC推進委員会を発足させ,具体的な活動に入った。

FQCの具体的な展開に当たっては,まずFQC活動に関するマニュアルを作成し,それを活用して,地区ごとに各ラボの代表者研修会・幹部研修会を実施し,経営体質の改善活動に取り組んだ。また,各ラボでは,それぞれの実態に応じて,小集団活動としてQCサークル活動を展開した。そして,1983年(昭和58年)6月には,QCサークルの地区代表が参集して,第1回フジカラーラボQCサークル全国発表会を開催し,各ラボのFQC活動の成果が発表された。そして,それらの成果のうえに,FQC活動は,各ラボで着実に根をおろし,それぞれ活発な活動へと発展しつつある。

[写真]第1回富士カラーラボQCサークル全国発表大会

第1回富士カラーラボQCサークル全国発表大会

[写真]カラーラボにおけるカラープリント製作作業

カラーラボにおけるカラープリント製作作業

[写真]機器の生産を担当している富士機器工業株式会社

機器の生産を担当している富士機器工業株式会社

 
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