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ニュースリリース

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富士フイルムとスイスの非営利組織「FIND」(*1)が共同開発中の
開発途上国向け 結核の高感度・迅速診断キットに、
グローバルヘルス技術振興基金(*2)より、4億2千万円の追加助成が決定

2018年9月27日

富士フイルム株式会社

富士フイルム株式会社(社長:助野 健児)は、現在開発中の結核の高感度・迅速診断キットの開発について、グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)より、新たに4億2,000万円の助成を受けることが決定しましたので、お知らせします。富士フイルムと共同開発パートナーであるスイスの非営利組織FIND(Foundation for Innovative New Diagnostics)は、世界保健機関(WHO)の早期推奨取得に向けて、CEマーク(欧州整合規格)の取得と開発途上国での臨床評価を加速していきます。

結核は、全世界で年間1,040万人が罹患し、170万人(*3)が死亡する世界三大感染症(*4)の一つです。なかでも、アフリカや東南アジアなど開発途上国の罹患者の割合は全体の86%に達しており(*3)、その感染力と医療コストの大きさによって開発途上国の社会、経済活動に深刻な影響を与えています。特にアフリカに多く見られるHIV陽性患者は免疫力が低下するため、健常人と比べて結核の罹患率が20倍から30倍高いとされており、HIV陽性患者の死因の4割が結核の重複感染によるものとされています(*3)。さらに、結核とHIVに重複感染した患者は重篤化しやすく、定期的な結核診断と早めの投薬治療が重要とされています。

一般的な結核診断においては、喀痰(かくたん)を検体とする診断方法が広く用いられていますが、結核の臨床症状を示したHIV陽性患者のうち、2割から6割程度の患者では喀痰の採取が困難であるというデータが存在します(*5)。また、HIV陽性患者においては肺以外の部位で発症する肺外結核が多く、部位によって症状が異なるため肺結核の典型的な症状として現れる喀痰から結核を診断する検査では、肺外結核の診断には不十分とされています。

国際連合は、持続可能な開発目標(SDGs)と新結核戦略(End TB Strategy)において、SDGsの目標達成年である2030年までに、結核による死亡者の9割減少と結核罹患率の8割(*3)減少を掲げています。この目標を達成するために、結核による死亡者の95%以上を占める低中所得国(*6)で使用でき、特に死亡者数の多いHIV陽性患者に対して有効な喀痰以外の検体を用いた迅速診断ツールが必要とされています。

富士フイルムとFINDは、2016年4月にGHIT Fundから2億2千万円の助成金を受領し、尿に排出される結核菌特有の成分「LAM(リポアラビノマンナン)」 (*7)に着目し、本成分を検出する迅速診断キットの開発を進めてきました。本キットには、当社の銀塩増幅技術(*8)を応用したウイルス高感度検出技術が使われており、機器を使わず、カートリッジに検体を滴下するだけで、簡単にその場で(*9)結核菌の有無を判定できるため、電力供給などのインフラが安定していない開発途上国での使用に適しています。

今年5月に、FINDらが南アフリカで行った本キットの試作品による臨床評価(*10)では、その評価試験において目標としていた診断性能(*11)を達成しました。この結果を受け、GHIT Fundが、今後も研究開発を継続するための4億2,000万円の追加助成を決定。当社とFINDは今後、開発途上国でのさらなる臨床評価と、CEマーク取得に向けた量産化の準備を加速させ、WHO推奨の取得を目指します。

富士フイルムは、高感度でインフルエンザウイルスを検出できる「超高感度イムノクロマト法(*12)インフルエンザ診断システム」を開発し、2011年10月に国内で発売しました。本システムは、2種類の抗体を用いて検体のウイルスの有無を識別するもので、簡単な操作で3分半~15分で判定結果を得ることができます。写真の現像プロセスで用いる銀塩増幅技術を応用することで、一般的な診断薬(*13)と比較し約100倍の高感度を実現しました。発症初期のわずかな量のインフルエンザウイルスでも検出を可能とした独自技術が高く評価され、医療機関に導入が進んでいます。また、インフルエンザ以外のアデノウイルスやRSウイルス、マイコプラズマなどへの応用も進んでいます。

富士フイルムは、社会課題の解決をメディカル事業の事業成長の機会ととらえ、今後も研究開発を積極的に推進して事業展開を図るとともに、革新的な製品の提供を通じて世界の医療の発展と、人々の健康の維持増進に貢献していきます。

*1 スイスのジュネーブに本部を置く非営利組織。2003年に設立され、開発途上国における結核や、マラリア、エイズなどの感染症の診断ニーズにこたえる新技術の開発と普及のため、血液検体や診断試薬、情報の提供を通じて共同開発パートナーへの支援を行っている。FINDは世界保健機関(WHO)をはじめ、世界100か所を超える研究施設や保健機関、民間企業と協力関係にある。

*2 GHIT(Global Health Innovative Technology) Fund。日本政府と日本の製薬会社、ビル&メリンダ ゲイツ財団、国連開発計画(UNDP)の共同で設立された、開発途上国の感染症の制圧に向けた日本発の革新的な治療薬、ワクチン、診断薬の創出を目的とした官民パートナーシップ。

*3 世界保健機構(WHO) ファクトシート(http://www.who.int/en/news-room/fact-sheets/detail/tuberculosis)から引用。

*4 結核、エイズ、マラリア。

*5 Huerga H et al. PLoS ONE 12(1): e0170976. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0170976 (accessed 14 August 2018). Lawn SD et al. BMC Medicine 2017;15:67. https://doi.org/10.1186/s12916-017-0822-8 (accessed 14 August 2018).

*6 一人当たりの国民総所得(GNI per captia)が、3,955USドル以下の約80か国。

*7 結核菌の細胞壁に存在。結核菌の生存や病原性の発揮に必須とされ、結核菌に最も多く含まれる特徴的なリポグリカン(脂質を含む多糖)。

*8 写真の現像プロセスで用いる銀塩増幅技術をイムノクロマト法に応用し、採取した検体に含まれるウイルスの標識(金コロイド)を増幅してサイズを拡大し、目視能を大幅に向上させる富士フイルムの独自技術。

*9 60分以内の判定。

*10 本臨床評価の結果は、評価を実施したFINDらが近々論文に発表する予定です。

*11 世界保健機構(WHO)発表のレポート「TPP(Target Product Profile)」で定められている、感度目標値、特異度、測定時間、販売価格などの要求仕様。詳細は、本レポート内のTable2. Delphi survey results for seven proposed key characteristics of a rapid biomarker-based non-sputum-based test for detecting TB. 1. Diagnostic sensitivity for pulmonary TB in Adultsに記載されている。

*12 試薬に滴下した検体(鼻腔ぬぐい液など)中に被検物質(ウイルスや細菌など)が存在すると、試薬中の標識抗体と結合して抗原抗体複合体が生成され、この複合体があらかじめ検出ライン上に線状に塗布された抗体に捕捉されると、陽性(抗原あり)を示す色付きのラインが表示される診断方式。簡便迅速に結果を得られることから、インフルエンザなど処置を急ぐ必要がある感染症の診断に多用されている。

*13 体外診断薬の中で、採取した検体を用いてウイルスや細菌などの抗原を検出し、肉眼にて結果判定できる「迅速診断薬」を指す。イムノクロマト法によって季節性インフルエンザの抗原を検出する製品を中心に、病院やクリニックで広く用いられている。

本件に関するお問い合わせは、下記にお願いいたします。

  • 報道関係 富士フイルム株式会社 コーポレートコミュニケーション部
  • TEL 03-6271-2000
  • 技術関係 富士フイルム株式会社 メディカルシステム事業部
  • TEL 03-6418-2877
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記事の内容は発表時のものです。最新情報と異なる場合(生産・販売の終了、仕様・価格の変更、組織・連絡先変更等)がありますのでご了承ください。

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関連情報更新日 2018年9月27日

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