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ニュースリリース

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富士フイルムと国立がん研究センター

ドラッグ・デリバリー・システム技術である「リポソーム」を用いた
新たながん免疫療法の共同研究を開始

-免疫細胞に及ぼす作用を明らかにし、生存期間延長メカニズムを解明-

2019年3月26日

富士フイルム株式会社

国立研究開発法人国立がん研究センター

富士フイルム株式会社(社長:助野 健児、以下 富士フイルム)と国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉、以下 国立がん研究センター)は、本日、新たながん免疫療法の共同研究を開始しました。今回の共同研究では、ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)技術(*1)の一つであるリポソームの中に薬剤を内包したリポソーム製剤を用いて、新たながん免疫療法の創出を目指します。リポソームは、細胞膜や生体膜の構成成分である有機物のリン脂質をカプセル状にした微粒子で、富士フイルム独自の設計により、がん組織の未成熟な血管壁の隙間を透過し、薬剤をがん組織に集積させ、副作用を抑制して薬効を高めることができると期待されています。

がん免疫療法は、生体の持つ免疫機能を高めてがん細胞を排除する治療法で、延命効果や症状の緩和が期待できることから、外科療法、化学療法、放射線療法に続く治療法として注目度がますます高まっています。現在、免疫チェックポイント阻害剤(*2)を用いたがん免疫療法が行われていますが、一部の患者さんでしか効果がみられないといった課題があります。

富士フイルムと国立がん研究センターは、今回の共同研究では、富士フイルムが研究開発を進めている既存抗がん剤を内包したリポソーム製剤「FF-10832」(*3)「FF-10850」(*4)と免疫チェックポイント阻害剤との併用投与でみられた生存期間延長のメカニズムを解明します。具体的には、富士フイルムのリポソーム製剤に関する高度な技術・ノウハウと、国立がん研究センターが持つ、最先端の免疫細胞の解析技術、動物モデルや臨床検体を用いた研究のノウハウなどを組み合わせて、リポソーム製剤が免疫細胞に及ぼす作用を明らかにし、生存期間延長との関係性を解明していきます。さらに解明内容をもとに、がん免疫療法に必要なリポソーム製剤の要件を見い出し、がんに対する免疫応答を制御する細胞を標的とした新たながん免疫療法を開発し、臨床展開することを目指します。

富士フイルムは、幅広い製品開発で培った高度なナノ分散技術や解析技術、プロセス技術などを活かして、リポソーム製剤の研究開発を推進しています。「FF-10832」および「FF-10850」では、単剤投与で腫瘍が大幅に縮小し、さらに免疫チェックポイント阻害剤との併用投与では単剤投与よりも生存期間が延びることを、マウス実験で実証しています。また「FF-10832」では、EPR効果(*5)によりがん組織に集積してがん組織内の免疫細胞(マクロファージ)に取り込まれた後、有効成分を徐々に放出することで持続的にがん組織に作用するメカニズムがあることを解明しています。

国立がん研究センターは、日本のがん医療・がん研究をリードする国立研究開発法人です。本センターの先端医療開発センター 免疫トランスレーショナルリサーチ分野(分野長:西川 博嘉)は、基礎免疫学に加え、ゲノム科学、代謝学および各種のオミクス解析(*6)を用いることで、がん細胞が形成する微小環境における抗腫瘍の免疫応答の本態を解明し、新たな免疫療法の開発を進めています。特に、この微小環境に多数存在する制御性T細胞(*7)などの複雑な免疫抑制ネットワークを、動物モデルやがん患者さんの検体を用いた研究を進めることで解明し、がん免疫監視(*8)から免疫寛容(*9)を制御しているメカニズムを分子レベルで明らかにすることを目指しています。

富士フイルムは、化合物の合成力・設計力やナノ分散技術などの高度な技術を活用し、がん・中枢神経系疾患・感染症を重点領域として新薬開発に取り組んでいます。またリポソームをはじめとしたドラッグ・デリバリー・システム(DDS)の技術開発にも注力し、低分子医薬品のみならず、核酸医薬品や遺伝子治療薬など次世代医薬品へDDS技術を応用する研究開発にも取り組んでいます。今後、革新的かつ高付加価値の医薬品を開発し提供することで、社会課題の解決に貢献していきます。

国立がん研究センターは、がんの制圧に向けて組織横断的にあらゆる課題に取り組み、すべてのがん患者さんとそのご家族が、常に希望を持ち続けることができるがん医療の提供を目指しています。

*1 必要な量の薬物を必要な部位に必要なタイミングに送達する技術。

*2 免疫細胞の働きを弱める機構(免疫チェックポイント)を阻害することで、活性化された免疫細胞が、がん細胞を攻撃して効果を示す薬剤の総称。悪性黒色腫、肺がん、胃がん、腎がんなどに幅広く用いられる。

*3 膵臓がんなどを適応症とする抗がん剤「ゲムシタビン」を独自のリポソームに内包したリポソーム製剤。現在、米国臨床第Ⅰ相試験実施中。

*4 卵巣がんなどを適応症とする抗がん剤「トポテカン」を独自のリポソームに内包したリポソーム製剤。

*5 がん組織は増殖に伴い周囲の血管を新生させるが、新生血管は未成熟で、正常血管には存在しない血管壁の隙間が存在する。リポソームや高分子などを血液中に滞留させると、隙間がない正常な血管壁は透過せず、がん組織周辺のみで血管壁を透過する。また、がん組織ではリンパ組織が未成熟であるため、透過したリポソームや高分子などが排除されにくく、結果的にこれらはがん組織に集積する。これをEPR(enhanced permeability and retention)効果という。

*6 遺伝子、タンパク質、代謝などの生体分子情報を網羅的に解析する手法。

*7 免疫応答を制御し抑制する能力を持つT細胞の一種で、過剰な免疫応答を抑えるためのブレーキ機能を果たす。

*8 異常細胞を排除し発がんを抑制する働きのこと。

*9 免疫応答を抑制する働きのこと。

本件に関するお問い合わせは、下記にお願いいたします。

  • 【報道関係】
  • 富士フイルム株式会社 コーポレートコミュニケーション部
  • TEL 03-6271-2000
  • 【その他】
  • 富士フイルム株式会社 医薬品事業部
  • TEL 03-6271-2171
  • 国立研究開発法人 国立がん研究センター 企画戦略局 広報企画室
  • 〒277-8577 千葉県柏市柏の葉 6-5-1
  • TEL 04-7133-1111(代表)
  • E-mail ncc-admin@ncc.go.jp
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記事の内容は発表時のものです。最新情報と異なる場合(生産・販売の終了、仕様・価格の変更、組織・連絡先変更等)がありますのでご了承ください。

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