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被写体との「一期一会」。限りある出会いを大事に撮っていきたい
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忘れたくない想いを、一回のシャッターに込める

目覚めて消えてしまう寸前の、忘れたくない夢の映像をもしそのまま焼き付けたら、きっとこんな写真になるのじゃないだろうか。そんなことをふっと思わせる、市橋織江さんの作品。風景、人物、動物、もの。被写体はバリエーションに富んでいても、すぐに市橋さんの作品とわかる独特の淡く柔らかな色彩と世界観は、多くの人を魅了してやまない。

「特に“自分らしさ”を意識して撮るということはないです。カメラやフィルムもごく普通のものを使っているし。たとえば青っぽい写真ばかり撮る写真家さんがいるとして、それはきっと、その人の目には世界はそんな風にすべて青く見えてるからだと思うんですよ。私の場合も同じで、私の目には風景がこう見えているから、こういう写真になるんでしょうね」

「常に焦っているようなところがあるんです。どこか刹那的というか…。目の前にある景色も、人との出会いも、その場に今ある空気も。すべてが無限じゃない、そのままいつもそこにいてくれるわけじゃないってわかってるから、ひとつひとつを大事に撮りたいなって思うんです」

市橋さんの作品に感じる暖かなぬくもりとある種のせつなさは、そんなふうに被写体をとらえ愛おしむ、市橋さんの心の内を写し出しているのだろう。

「いつも“新しい出会い”に惹かれます。同じ場所に何度も通ったり、同じ被写体をああでもないこうでもないと長くじっくり撮ることって苦手かもしれないですね。シャッターの回数が多くなれば多くなるほど、そのぶん一枚一枚が薄く、軽くなっていく気がして」

「いろんなショットをたくさん撮ると、自分でも後でどれがいいのかわからなくなちゃうんです。撮影時間もシャッターを切る回数も、できるだけ少なくしたい。ファインダーを覗きながら心に強く思い描いて。自分はこの被写体の何を撮りたいのかがわかってからでないと撮れないし、そうでないと本当に撮りたいものは写ってくれないと思っています」

心動かすものと出会い、忘れたくない一瞬を撮るために写真はある。だからこそ被写体に、そして自分の気持ちに真剣に丁寧に向き合うことの大切さを、市橋さんの写真は教えてくれる。





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(C)Orie Ichihashi
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