東京写真月間2001 日本写真協会賞受賞展
(年度賞・新人賞・功労賞
・文化振興賞・国際賞)

《富士フォトサロン・東京/スペース1・2》にて
 日本写真協会は毎年6月1日を記念して、写真文化の国際交流や振興・発展に寄与した団体・個人および写真制作で顕著な成果を示した写真家と将来を嘱望される新人写真家を対象に顕彰しています。本展は今年受賞された方々の作品と功績をご覧いただく展覧会です。皆様でお出かけください。

 ■国際賞/Mark Holborn
 ■功労賞/小倉磐夫(故人)・杵島 隆・中井幸一
 ■特別賞/秋山庄太郎
 ■年度賞/江成常夫・岡井耀毅・篠山紀信
 ■新人賞/中野正貴・平野正樹


田中昌彦写真展
「シルクロードの都邑 ブハラ〜サマルカンド」


《富士フォトサロン・東京/スペース1》にて

 アジアとヨーロッパを結ぶシルクロードの中間に位置するブハラとサマルカンドは、東西交易の中心地で、紀元前6世紀のアケメネス朝ペルシャ、BC4世紀のマケドニア王国の支配により、ギリシャ文化とペルシャ文化の融合した独特なヘレニズム文化に始まるオアシス都市国家であった。7世紀にはアラブ人の侵入、そしてサーマーン朝・カラハン朝・ホラズム朝などの興亡により、イスラム・トルコ化された。その後、チンギス・ハンの征服に遭い、徹底的に破壊され廃墟となったが、14世紀にはチムール帝によって再興され、天文学・建築学・芸術など世界的な粋を集めた文化圏を西アジアに形成、繁栄し黄金期を築いた。
 中でも、9世紀に建造されたブハラのイスマイル・サーマーニ廟やカリャン・ミナレットは焼成平煉瓦によって様々な文様が施されている美しい建築。また、サマルカンドには数多くのメドレセ(イスラムの学校)や霊廟・モスクがあり、屋根には蒼い色のドームが聳えている。特に、チムール帝一族の廟であるグル・エミル廟のリブ型ドームはサマルカンドのシンボルといわれている。これらの建築は、様々なモザイクタイルで装飾されており、シャーヒ・ジンダ廟は青い浮き彫りタイルを用いたアラベスク模様の霊廟群で、中央アジアに残されたイスラム建築の傑作である。
 現在、ウズベキスタン共和国政府の手で修復保存が続けられている。古き想い、今を訪ね巡る…。ぜひ、ご高覧ください。


田中昌彦 


日本自然科学写真協会
第22回SSP展「自然の中の不思議を知る」


《富士フォトサロン・東京/スペース1》にて
 日本自然科学写真協会(略称SSP)は、自然科学の眼で見た写真を介して親睦と情報交流の場を作るとともに、写真文化の向上と発展を願う[写真人]の集まりです。佐々木崑会長、中村征夫・海野和男副会長をはじめ、栗林慧氏、竹内敏信氏ほか、プロの写真作家の作品およびアマチュア写真家の作品100余点を一堂に展示します。昆虫、鳥、動物、植物、水中、山岳、自然風景、顕微鏡など様々なジャンルの作品を展示します。自然の大切さを問われる昨今、皆さま、ぜひ一度ご来場ください。

日本自然科学写真協会 写真展委員会 


第27回日本山岳写真集団展
「わが心の山」


《富士フォトサロン・東京/スペース1》にて
 創立34年目を迎える日本山岳写真集団。在籍する13人の山岳写真のプロ作家が長年、撮り続けた日本、ヨーロッパ、ヒマラヤなどそれぞれの山をまとめて発表する。メンバーには、「週刊 日本百名山」(朝日新聞社刊)で写真や執筆を発表している内田良平・山下喜一郎・三宅 修氏らのほか、山岳雑誌やカメラ雑誌で活躍中の若手作家がいる。代表の岩橋崇至氏は、「新世紀を拓く、世界10人の山の写真家展」(イタリア国立山岳博物館など世界78ケ国が参加した世界山の写真フォーラムにて選考)で日本人として唯一、選出された。

日本山岳写真集団 


武藤省吾写真展
「石狩晩霞(いしかりばんか)」


《富士フォトサロン・東京/スペース2》にて
 札幌から車で約40分の距離に位置する石狩市。昭和50年に北原ミレの歌で大変ヒットした演歌「石狩挽歌」を思い出される方も多いでしょう。春には水芭蕉、夏はハマナスの花が咲き、海は海水浴の人たちで賑わい、秋は鮭の定置網で活気のある浜です。石狩浜の河口付近に灯台があり、この灯台は昭和32年に映画「喜びも悲しみも幾年月」の舞台となり、ロケに使用された灯台です。しかし、今は近代化されて無人の灯台となっています。
 そのような時代の流れの中で、自然の摂理は永遠に繰り返され、四季のドラマが展開されています。特に北の夏は短く、駆け足で秋と冬がやってきます。八幡側から見た灯台と夕陽に感動し、その瞬間を撮り、空一面に真っ赤な鰯雲、太陽は刻々と燃え上がり、まるで蜃気楼の世界に吸い込まれた錯覚になり、しばらくはただ茫然としていました。言葉では表現できない夕焼け(晩霞)でした。灯台を中心に石狩の風土と自然を表現しました。ぜひとも、ご高覧ください。


武藤 省吾 


金沢 靖写真展
「自転車のある風景」


《富士フォトサロン・東京/スペース2》にて
 自転車には人の心を解き放つ力があるようだ。以前から抱いていたこの推測は、一昨年の初秋に確信へと変った。自転車の発祥地である西欧、そして環境先進国である北欧を訪れ、ひたすら自転車に乗る人々を撮り続けた。彼らの顔を注意深く見つめれば、誰もがなんともよい表情をしていることに気づく。なぜだろう。単純にラクチンだからか、それとも自然を肌で感じられる爽快感や自らの脚力だけに頼って走る達成感、あるいはエコロジー的な満足感が得られるからだろうか。
 理由はどうあれ、自転車が乗る人の心に豊かさを与えていることは確かだ。そしてこれはヨーロッパに限ったことではない。昨年春、北アフリカとギリシャ、トルコを巡り、再び日常の中を走る自転車を追いかけた。そこで文化や習慣の違いによる多少の差こそあれ、自転車の力が同様に人々の心に機能していることを知った。自転車に乗る人は、地域を問わず、老若男女を問わず、誰もが格好いいのである。


金沢 靖 


永田忠彦写真展
「肖像写真1(持ち物探偵団)」


《富士フォトサロン・東京/スペース2》にて
 自分のとっておきのモノをめぐるこだわりは、他人の介入、理解などを必要としない思い入れの世界である。持ち主の想い、生き様が色濃く反映されたモノとは、紛れもなく執着の象徴でもある。週刊誌の連載「持ち物探偵団」を通じて行ったこだわりモノの取材は、まさにその執着を開示してほしいと要請するものだった。さまざまな分野で活躍されている方々の執着の対象は千差万別であり、そのこだわりについて語る表情は嬉しくもあり、面映くもあるようで、思いがけない素顔が覗いていた。
 多忙な方々のスケジュールの合間を縫い、半ば押しかけるようにして取材を敢行し、垣間見える素顔を一葉の写真に写しとる。個性あふれる方々とカメラを通して対峙する一瞬こそが、現代の一期一会に思えた。上記のような写真展です。どうぞ、ご覧ください。


永田忠彦 

全日本カラーラボ協会連合会主催
「2001年6月1日 写真の日
記念フォトコンテスト」発表展
《富士フォトサロン・東京/スペース3》にて
 全日本カラーラボ協会では『6月1日 写真の日』を定着させ、写真文化の発展に少しでもお役に立つため、『写真の日記念フォトコンテスト』を開催いたしました。「美しい自然」と「子供」という2つのテーマで、全国から4,454点におよぶ多くのご応募をいただき、写真家・竹内敏信先生の厳正な審査の結果、グランプリ〜特別賞までの84点が選ばれました。日本にはまだまだ美しい雄大な自然がたくさん残されていることがわかると同時に、日本の将来を担ってゆく自由闊達な子供たちの姿を展示させていただきます。ぜひ、ご高覧ください。

全日本カラーラボ協会連合会 


寺沢孝毅写真展
「宇宙島-残された生命の秘島 天売島物語-」


《富士フォトサロン・東京/スペース3》にて
 天売島は利尻・礼文の70km南に浮かぶ、周囲12kmの小さな島だ。海の色が限りなく透明に輝く春から夏、断崖の海岸には100万羽近くの海鳥が繁殖のためにやってくる。絶滅危惧種のオロロン鳥(ウミガラス)やケイマフリ、この島を世界最大の繁殖地とする60万羽のウトウなどがその主な顔ぶれだ。世界でも類のない貴重な海鳥の姿を求め、海から、あるいは断崖の岬からその姿を追い続けてきた。海鳥の生命の輝きを、島ならではの景観とともに紹介する。また、厳冬期の断崖や樹木の表情は天売島ならではの厳しさを伝え、春から初夏にかけて咲き乱れる高山植物は、この島の自然の穏やかな一面をのぞかせる。
 さらに、人の暮らしも存在する天売島は、地球のほとんどすべての要素を包含し、この地球の凝縮のようでもある。島および周囲の海で生きる無数の生命や島と海全体が一つの生命体として見せる壮大な表情を、今回選んだ写真を通して見ていただきたい。そして、いわば「島の宇宙」なるものを感じていただければ幸いだ。私にとって天売島暮らし20年の節目の写真展と、これを機にまとめた作品集を会場でぜひともご覧いただきたい。


寺沢孝毅 

「岡田茂吉の世界」写真展
《富士フォトサロン・東京/スペース3》にて
 MOA美術館の原点ともいうべき「箱根美術館」の創設者であり、初代館長でもある岡田茂吉(1882〜1955)は、始終美を求め続けた生涯であった。東京・浅草に生をうけた岡田茂吉は、画家を志して東京美術学校(現在、東京芸術大学)の予備課程に入学。特に琳派の巨匠・尾形光琳に触発され、若い頃、小間物商店「光琳堂」を開業。装身具卸商「岡田商店」に発展させ、自らの商品開発に創意をこらした装身具は東京大正博覧会で受賞するなど、「旭ダイヤ」は斬新なデザインから海外9ケ国の特許を得て一世を風靡し、岡田商店は業界のトップに踊り出た。
 岡倉天心に私淑し、尾形光琳に触発された天性の美的感覚は海外流出の危機にさらされた貴重な美術品を招き寄せた。生涯を通して3,000点を越す東洋美術の逸品を蒐集。中でも尾形光琳筆「紅白梅図屏風」、野々村仁清作「色絵藤花文茶壺」の入手は美術品蒐集の集大成になる。また、岡田茂吉は『日本の使命は美を通して世界に貢献することである。その意味で箱根、熱海の二大景勝地に美術館をつくるのである』と構想を述べ、自然の散水美と人工的庭園美とを調和した「箱根・神仙郷」に岡田茂吉自身の設計による箱根美術館、「熱海・瑞雲郷」には岡田茂吉生誕百年を記念として完成されたMOA美術館がある。
 「神仙郷」は、箱根早雲山の中腹、海抜600メートル。眼前に明神ケ岳、明星ケ岳、そしてはるか遠く相模湾、房総半島が眺望できる景勝地である。観山亭、神山荘、日光殿、富士見亭、苔庭、竹庭、萩の家、茶室・山月庵、茶室・真和亭、そして箱根美術館が配置されている。「瑞雲郷」は、熱海駅より車で数分、海抜200メートルの地に絶景を眺望できる約24万平方メートルの広がりを持ち、鏡のごとく広がる駿河湾に浮かぶ初島、遠く噴煙をあげる伊豆大島。晴れた日には真鶴半島、三浦半島、房総半島まで見はるかす大景観である。MOA美術館、光琳屋敷、茶室・ブナ亭、茶室・一白庵、竹庭、茶室・清香亭とMOA梅園、桜山、つつじ山が点在する。神仙郷、瑞雲郷の起伏に富んだ造形美は、琳派芸術を彷彿とさせる庭園である。
 岡田茂吉は『岩の組合わせはもちろん、樹木や草などを選びに選んで、一々に心を篭めてあしらい、ちょうど自然の材料で絵を描くようなものである』と一木一草にいたるまで指図して造り上げた両郷を『大自然の芸術品』と述べている。神仙郷、瑞雲郷はまさしく、「岡田茂吉の世界」そのものである。写真家・伊藤伸生と中川喜代治は、長年にわたり四季折々に、また毎年違った表情を見せる「岡田茂吉の世界」を大自然の芸術品として撮影し続けている。
日本写真家協会/伊藤伸生 
日本写真家協会・日本旅行写真家協会/中川喜代治 

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