黄、赤、緑の草木が残る11月の街に初雪が訪れます。人はその雪の到来に歓喜し、喝采します。しんしんと降る雪は静寂であり遠慮がちです。轟音を伴う雪は恐怖でもあります。そんな時にも札幌の人は、顔を背けても目を閉じることはありません。子供たちは積もった雪に身を投げ出して遊びます。老人もまた雪を楽しみます。自分の靴から伝わる雪の感触に、人生の機微を感じるのです。
私が写真を始めた頃、あるスポットで定点撮影をしました。すると、寒さの厳しい冬になっても人々は決して萎縮などしていないのです。それどころか、雪の輝きにも似たきらめきを見せているのです。この時、雪のある街に行き交う人々のさりげない姿に、高貴な、時には崇高ともいえる営みのあることを知りました。
昨年9月に東京の富士フォトサロンで開催した個展<讃雪の街
中野潤子写真展>の作品は、富士フォトサロン東京の推薦で〈第12回林忠彦賞〉に応募し、最終ノミネート作品となりました。今回展は、その東京個展33点の作品の中からの21点に、新たに12点を加えての展示です。お忙しいとは存じますがご高覧いただきたくご案内いたします。
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